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モーバイルインフォサーチ実験の利用動向

  MIS実験システムは, NTTパーソナルが行っているPHS位置情報実用化試験に参加している, 関東および大阪市内の 約50組織に貸与されている約450台の専用位置情報PHS端末を 対象に公開実験を行っている. 本章では,このうち,約100ユーザに関する利用動向分析結果の紹介とその考察を行う.

まず,第一の分析は,ユーザが利用したWWWサイトの種類別の利用動向である. 現在の MIS実験システムでは,利用可能なリンクは次の2種類に分類される.

  1. 現在地地図表示系 (インターネットタウンページの地図機能,MapFanWeb,マピオンの地図機能)
  2. 周辺情報検索系 (インターネットタウンページの検索機能,マピオンの検索機能,goo,駅前探険倶楽部)

MISは, A.のような現在地地図表示系の使い方よりも B.のような周辺情報検索系の使い方を意識しているが, 周辺情報検索系の利用回数の割合のユーザ全体平均は,34.3%であった. これは,実験参加者の多くが PHSの現在地が正しく取得できるということに興味があり, まずは地図で場所を確認するということが多く行われたためと推察される. 今後, MISで想定している,周辺情報検索系の 使い方がより多く行われるよう, MIS実験システムの改善や ユーザへの勧奨を行っていきたい.

二つ目の分析は,ユーザが B.のような周辺情報検索系のWWW機能を利用した際, 検索条件としてどのようなものを付加したかの分析である. MIS実験システムでは,メニューから選択可能な 付加条件として,「レストラン,ガソリンスタンド,銀行,ホテル,郵便局, コンビニエンスストア,カラオケボックス,イタリア料理,デパート」 を用意している.また,フリーキーワードを入力することもできる. これらの付加検索条件の指定動向の分析結果は 図7の通りである. B.のような周辺情報検索系のWWW機能を利用した回数のうち,何かの検索条件を 指定した回数の割合は25.8%である. さらに,その付加条件の中身の内訳を見ると 「レストラン」がその大半を占め,ユーザ自身のフリーキーワードによる 指定は1.2%にとどまった. 漠然と現在地周辺の情報一般を 求める場合が多く,かつ,条件を指定した場合でも, ユーザ自らがフリーキーワードで 検索条件を指定した場合はあまり多くなかったという結果になる. ユーザの本実験システムに対する慣れの 影響もあるかも知れないが, なかなかユーザ自ら検索条件を指定してくれる場合はあまり多くないと 判断でき,より効率良く検索を進めていくためには, 4.2節で 述べたような検索条件の自動付加機能による支援が必要であると言える.

  
図 7: 付加検索条件の指定状況



Nobuyuki Miura
Thu Dec 11 18:26:15 JST 1997